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愛知県の主婦の日常雑記

読書記録

子どもの王様 (講談社文庫)

子どもの王様 (講談社文庫)

殊能センセーの著作で唯一読んでいなかった作品。読むと、私の中の殊能が終わってしまいそうで嫌だった。最近、ほんとにふと、そろそろいいか、と思ったのだ。潮時かな、と。Reading Diaryっていう高い山もあることだし。
で、読んだ。中2娘は「怖かったよ!」と絶賛していて、結果、怖かった。まあ同じミステリーランド神様ゲーム(麻耶雄嵩)の方が怖かったけど、殊能センセーの怖さはまた別。
ヒーローの元ネタがワーグナーのオペラだったりするところは変わらず殊能節。
主人公の将来が心配。

あとがき「わたしが子どもだったころ」が沁みる。子供を持つことがなかった殊能が子供の為に書いた文章。自らの子供時代を見返し、いつものようにフラットに書こうとしつつも、隠し切れない郷愁や愛惜が滲んだ噛み砕かれた文章は、殊能にしては珍しく湿っているように思えた。それは本編にも言えることで、やはり子供向けだからだろうか、ふだんよりちょっとやさしい殊能センセーがそこにいるのだ。近いうち読み返そう、と思った。

読書記録

恐怖の地政学 ―地図と地形でわかる戦争・紛争の構図

恐怖の地政学 ―地図と地形でわかる戦争・紛争の構図

人類はいつまでも争わなくてはいけないという事実を、地形から具体的に説明する本。意外に読みやすかった。地形と宗教と資源の埋蔵量を勉強したら世界が読み易くなりますね(歴史は地形と宗教に含まれるでしょう)勉強ってこうやって繋がるね!!
印象的だった話①アフリカのデカさ。メルカトル図法じゃ伝わらない、地球儀で初めてわかる巨大さ②(抜粋)アラブ諸国は悪意に、いや、憎悪に満ちている。平均的な西欧人にはわからない、目の前に印刷物として置かれたとしても信じたくないほどの憎しみだ。わたしたちは、自分自身が持つ悪意を、ありあまるほどの悪意を自覚している。それなのに、中東の悪意は見て見ぬふりをしようとしているのだ。→え…③ボルテール「君の言葉は認めないが、君の発言権は死を賭しても守る」いい言葉ですねこれ!しかし昨今は文化の相違を念頭に置いた「相対主義」が影を落としているとのこと やはり影かこれ④あと印パのどん詰まり感
それと、浅羽先生の新書で触れられていたリベラル問題が、ここでも出てきたのが興味深かった。「人が空腹で何かに怯えているときに、パンと身の安全か、または民主主義の概念か、どちらかを選べと言われたら、選択は難しくない」選択はその人の生活から逃れられないって話。

移動の自由は精神の自由

 飛行機が好きだ。最近電車も好きになった。コンテナヤードに接岸する船を見るのも大好きだ。
 不思議なことに車にはあまり魅力を感じない。自分が運転しなければいけないとか日常的過ぎるし、あまり人数も乗れないので、スケールメリットを感じないのかもしれない。
 なんというか、技術の粋を尽くして、運行もきちんと組んで、人類の力で最大の挑戦をするようなヴィークルが好きなのである。
 そういう「動くもの」を見ていると、すごくスカッとする。何処へでも行ける、って本当にワクワクする。黒田さんが「移動の自由は精神の自由だ」って言ってた、これほんとに共感する。旦那には「男の子みたいだ」って言われた。そうなんだろうか。

Anywhere Out of the World

Anywhere Out of the World

冷たい?

 最近あったこと。人が大勢いる場面で知り合いが、彼女にとっては初対面になるある人のことを「あの人冷たそう。言葉遣いがすごく悪くない?」と訊いてきたので、その人を存じ上げていた私は「全然冷たくないよー。言葉遣いも私の方が悪いくらいだし」と返しておいたが、初めて見る人を冷たそうと認定し更にその感想を他人にダダ漏れさせるって、酷い話だと思いません?言葉遣いが悪い方があんたみたいに根性悪いよりずっといいよ、とかって思いませんか?
 そもそも冷たそうってのも変な話。冷たい人間ってどんなんだ。からかいが過ぎる奴やいじめをする奴は人間性が曲がってるが冷たいてのとはちょっと違うだろう。今までの人生思い返してみても、冷たい人に当たった記憶がない。
 それなら彼女の言うことも受け流して、内心見下している私の方がずっと冷たい人間だろうよ。あるいは遭遇した時だけ世間話と情報交換で盛り上がる、連絡先も知らない彼女の方が冷たい人間か?どっちもいくらでも冷たい人間って言えちゃうだろ。会話の折に部分的に「お前冷たいなー」は成立するけど、全人格を指して「あの人冷たそう」は成立しないなと思ったのでした。

Cold Cold Heart

Cold Cold Heart

 

故人の

 今年のお正月に亡くなった方の遺品を送っていただいた。先日形見分けがあったそうで、参加された方がわざわざ送って下さったのである。若くして亡くなった方だ。経営コンサルタントであると同時に物書きだった。
 私は彼と直接の面識はない。それどころか、こちらに送って下さった方とも直接お会いしていない。全てFB経由である。
 亡くなった方は文才があった。その文才と、事態を冷静に見詰めるコンサルタントの能力で、自らの病状を克明にFB上にアップした。明晰な文章で綴られる自らの状況、日常のささいな出来事、感情、趣味。彼の非凡さはその驚くべきエネルギッシュさだ。ステージ4であっても仕事を再開し、趣味のイベントをやり、フランス語を学び、1万歩以上歩いた。お会いしたこともないのに、気になった。私の中高時代の友人の、大学での先輩に当たる方で、病を得ている人に不躾に友達申請などするものではないと、躊躇っていた。しかし私のミスタッチによる無自覚の友達申請で、あっという間に交流が始まってしまった。
 彼は面白かった。彼のリアル御友人にあたる、今回送付してくれた方も、面白かった。彼の著作も面白く、新作は5刷を数えた。1年経ちその時を迎え、遠方のため葬儀への出席も果たせず、私にとって彼の証は手元の著作だけとなっていた。そこへ御友人が遺品を送って下さった。
 御友人は彼の没後、私とFBで繋がっていた。うちの小4息子が描く鉄道の絵が好きだとおっしゃって、ロマンスカーの案内をしてくれたり、すごく良くして下さった。今回のこともその一環だ。
 不思議な気持ちだ。一度も会ったことがない方の気持ちを受け取る。一度も会ったことがない方の、この世への置き土産である形見の本を、今初めて手に取る。
 遺品の中の一冊に葉書が紛れ込んでいた。亡くなった彼が主催したであろう、イベントのフライヤーだ。彼の息吹を感じた。なんだか生々しかった。確かに、生きていたんだ。
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Crucified,terrified,sacrifice,my whole life

 ヘヴィ・メタルが好きなのであるが、理由の一つに歌詞のどうしようもないどうしようもなさ、があるのについさっき気が付いた。20年もメタルファンやってるのに。
 このどうしようもなさは80年代までのバンドにはあまり見られず、スラッシュが出て来てから発達したような気がする。わかりやすい怒りの表現に、MEGADETHあたりが冷たい怒りの表現をぶつけてからか。私はANTHRAXの世界観がいちばん好き。

 Thinkinig evil, is that just your normal gig  Fueled by hatred, happy as a stuffed pig
 You're so lonely, everyone around you reeks
 Of indifference, thriving in their apathy
 (Room for One More)

 スコット・イアンがミドルネームに「NOT」と入れ込んでる精神も好き。NOTだよ。ふざけんな。
 アンスラはメタルとヒップホップが接近し始めた時代の先駆者と言ってもいい。ヒップホップの持つ、現実をねめつける攻撃性がヘヴィなビートに乗るのすごく好き。クソな時代をクソに生き抜いてやろうじゃないか、という決意表明を感じる。ストレートにそんな文言がならぶジャンルってあんまない。んでヤケクソなパワーをくれる、そういうヘヴィネスの入ったロックは唯一無二のもので、やっぱり好き。
 
 Kickstart and turn me over
 Punchdrunk, but I'm still sober
 Fourteen years and a whole lot bolder
 And I don't flinch
 Hungry and I'll take the best
 'Cause I never wanted anything less
 What doesn't kill me makes me stronger
 (Fueled)

Room for One More

Room for One More

なにやらいろいろと自覚なき自己顕示欲

 小4息子と市内の大きな公園に行き、なかなかにアレな親子に遭遇した。

母親が、
3人の幼児を公園の端の公道、レンガ敷きの地べたに座らせ、
バックの塔が入るように地面スレスレのローアングルで、
「はいっっ、チーズッッッッ!!!!」とほとんど暴力的な声を上げながら、
写真を撮っていたんだ。

 公園ではあるがはっきり言って歩道である。けっこうな通行量。被写体たる子供らとカメラマン母の距離は約2メートル。その撮影行為で通行を躊躇う人がいる。
 子供らの後ろは1メートルで車道。車の通行量もそれなり。
 3人の幼児は全員兄弟ではないみたい。もう1人母親らしき人がいて、大人2人と幼児3人である。
 そして妙に統一感の取れた服を着ている。デニム地と白、英字ロゴ。そんな感じ。
母親は太眉のややギャル系。

 コロコロ転がされて多少不安な顔をしながら、母親の掛け声に反応してそれでもなんとか笑顔をつくる子供らを見てると、親に公道の地べたに座らされて、通行人をストップさせて撮影されるのを是とする教育を受けている彼らの将来を心配してしまう。
 写真はおそらくSNSに使うんであろう。仕事でなければな。
 馬鹿なの?

 悪口雑言になっちゃうのでここで終わるわ

踊る駄目人間

踊る駄目人間